理学療法士・作業療法士・言語聴覚士などのリハビリ職を目指すために通うリハビリ学校には、国公立と私立があります。

それぞれの違いやメリット・デメリットを通学経験者が分かりやすく解説いたします。

リハビリ学校の種類と特徴

リハビリ学校には国立と私立があり、それぞれに大学・専門学校があります。同じ専攻の大学や専門学校であっても国立と私立では設立の歴史や学校数、運営方法などそれぞれに異なる特徴があります。

国公立の大学と専門学校

リハビリ学校における国公立の大学や専門学校の特徴は設立年が古く歴史がある点です。

リハビリ職の1つである理学療法士の学校では1963年に設立された国立療養所東京病院付属リハビリテーション学院が始めとなります。国公立の他学校もそれに次いで初期のころに専攻科が設立されています。

国公立の学校数は少なく、2017年時点で理学療法士・作業療療法士の養成校でいえば大学が20校程度、専門学校が1校のみです。言語聴覚士の養成校においては大学が1校、専門学校が1校のみです。1専攻あたりの募集人数も少なく、20~40人程度です。

学校運営に関しては国公立の場合は国からの助成金を得て運営を行っています。

私立の大学と専門学校(短大)

リハビリ学校における私立大学・専門学校(短大)の特徴は比較的新しい学校が多いという点です。


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理学療法でいえば1990年まで養成校は約50校だけでしたが、その後の養成校設立にあたっての規制緩和が行われ私立の学校が急増し現在では大学が78校、短大が6校、専門学校が147校設立されています。また1専攻あたりの募集人数は30~80人程度で、国立と比べ募集人数が多い学校がほとんどです。

学校運営に関しては学生から集めた資金を基本として運営を行っています。

国公立の学校のメリット

国立の学校のメリットというと“学費が安い”ことが一般的によく知られています。しかしリハビリの学校の場合は学費だけでなく歴史ある国立の学校ならではというメリットがいくつかあります。

メリット1 学費を抑えられる

国公立の学校は私立と比べて学費を抑えることができます。

リハビリ学校における国公立大学での必要な学費(入学金+4年間の授業料)は約250万円で、私立では約350~700万円です。国公立と私立では学費に100万円以上の差があり、国公立は私立に比べて学費が非常に安いといえます。

またさらに国公立であれば申請をすれば経済状況などに応じて学費の全額免除や半額免除を受けることができます。

メリット2 臨床実習が県内・隣県でできる

国公立の学校では臨床実習を県内・隣県でできる場合が多いです。国公立の学校は設立に歴史があるため地域の病院や施設との結びつきが強い傾向にあります。そのため臨床実習地を確保しやすく県内や隣県の範囲内で臨床実習を行うことができます。

実はこのことは学生にとって非常に大きなメリットで、もし実習地が遠方となると交通費・引っ越し費用・アパート費用など様々な費用が必要となり場合によっては50万円以上の費用がかかることもあります。実習地が通える範囲であればこれほどの費用負担は発生しません。

また臨床実習では初めて実際の患者さんと向き合い、実習先の先生方からも非常に熱心な指導を受けるため肉体・精神ともに追い込まれることがあります。このようなときに独り遠方の実習地で奮闘しているのと、一緒に勉強している学友たちが側にいるのとでは辛さが全く異なるものとなります。

メリット3 研究設備が充実している

国公立の学校は国から受けている助成金を研究設備に活用しているため、設備が充実しているところが多くあります。設備が充実していることにより学校で行える研究の幅がひろがったり、より正確で詳しい質の高い研究に取り組むことができます。

メリット4 医師による授業を受けられる

国公立の学校は医学科も併設しているというところが多くあるため、医学科が併設していないことが多い私立の学校(特に専門学校)などに比べて医師による授業をより多く受けることができます。

医療を学ぶ上で重要な基礎となる解剖学、病理学、生理学などはリハビリ職の教員より医師の教員の方が知識や専門性があり、より質の高い授業を行ってくれます。また医師による授業は、リハビリ職とは異なる医師目線の考え方に触れられる良い機会となります。

メリット5 学友や教員と深い関係を築きやすい

国公立のリハビリ学校ではクラスの人数が少ないため、自然と深い関係を築きやすくなります。在学中はもちろん、卒業後も関係を保ち支え合うことができます。

私立の学校のメリット

私立の学校は数が多く、多様性があります。そのため通学のスタイルや学校の立地条件、授業内容など国立とは違った様々なメリットが存在します。

メリット1 夜間コースがある

私立の学校には夜間コースを設置しているところが多くあります。働きながら学校に行きたい場合などは私立の夜間コースは非常に魅力的です。

メリット2 国家試験対策が充実している

私立の学校の場合は学生を募集するためにも国家試験の合格率を上げる必要があり、国家試験対策を充実させているところが多くあります。なかには1回生のときから国家試験対策の授業を組み込んでいるという学校もあります。

メリット3 有名な先生がいる

私立の学校はリハビリ業界で有名となっている先生を学長や講師として招いていることがあります。

リハビリ業界では有名な先生による講習を受けようと思っても受講料が高価であったり、人気がありすぎて抽選で落ちてしまうということがしばしばあります。しかし学校に有名な先生が在籍していれば日常的にその先生の授業を聞くことができます。

このような先生が行う授業は臨床で活用しやすい実践的な考え方を分かり易く教えてくれ、学校を卒業してからもその先生の講習を受講しにいき続けているという人もいます。

メリット4 自分に合った学校を選びやすい

私立の学校は数が多く、自分に合った学校を選びやすいです。国立の学校は数が少ないため地元になかったり、気に入った校風が見つからなかったり、偏差値が自分に合わなかったりすることがあります。

しかし私立の学校は多様性があるため学校選びに幅があり、より自分の希望に合致した学校を探すことができます。

メリット5 学校がきれい

私立の学校は学生からの人気を得るためにも、学校をきれい保っているところが多いです。学食なども豊富なメニューが揃っている学校もあり、学生生活をより一層満喫できます。

国公立の学校のデメリット

国公立の学校には魅力的なメリットが多くありますが、気を付けるべきデメリットも存在します。学校を選ぶ際はデメリットもしっかりと把握をしてから選ぶと良いでしょう。

デメリット1 国家試験対策は自分でする

国公立の学校では国家試験対策は自分でするようにとされているところが少なくありません。

特別に国家試験対策授業が設けられることもなく、学校によっては就職活動・卒業研究・国家試験対策を並行して行わなければならないところもあります。

デメリット2 学校が地元になく1人暮らしをしなければならない

国立の学校は数が少ないため、学校が地元にないということはしばしばあります。そのため通学のために1人暮らしをしなければならないというケースもよくあることです。

国立の学校における大きなメリットとして学費の安さがありますが、学校が遠く1人暮らしをすれば生活費が多くかかり学費と生活費を合わせると地元の私立へ通学した方が費用が少なくなるという場合もあります。

国立の学校を選ぶ際は学費だけを考えるのではなく、1人暮らしをしなければならないかどうかも考えておく必要があります。

デメリット3 校舎が古い

リハビリ学校の場合、国立は歴史があるところが多いため校舎が古いところが多いです。

私立の学校のデメリット

私立の学校は学生から集める資金を中心に運営をしているため、やはり学費は国立に比べて高くなります。またそれ以外にも歴史が浅い私立ならではの知っておくべきデメリットも存在します。

デメリット1 学費が高い

私立の学校の学費は国立に比べて高いです。特にリハビリの学校の場合は一般的な私立に比べて費用が高く、専門学校であれば3年制で350~500万円、4年制であれば500~700万円、大学であれば550~800万円程度必要となります。

ただし学校が独自に奨学金や奨励金、授業料免除の制度を設けているケースもあるため、学費を理由に学校を諦めることはせずにまずは制度の確認を行うと良いでしょう。

デメリット2 臨床実習が遠い場合がある

私立の学校は比較的新しい学校が多いため、臨床実習地の確保が古くから存在する国立の学校に比べて難渋しているというケースも少なくないようです。そのため臨床実習地が県内・隣県だけでなく、北海道~沖縄まで学校から遠くはなれたところまでを範囲とする学校も多くあります。


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移動費・アパート代など実習に伴う費用負担の対応は学校によって様々で、学校が費用を負担するというところもあれば学生が全額負担をするというところもあります。実習に伴う費用は決して安いものではなく、学校選びをする際にはどのような時期にどれくらい必要になるのかということを事前確認しておくと良いでしょう。

国公立と私立の受験の違い

国公立と私立の受験には違いがあります。受験の違いをしっかりと把握しておけば受験の仕方を工夫することができたり、受験勉強の効率が上げることができます。

科目

受験科目は国公立の一般入試では全科目が受験科目の対象となりますが、私立は学校によって受験科目が異なります。

まず国公立の一般入試ではセンター試験と2次試験の受験が必要です。センター試験では5教科(国語・社会・数学・理科・英語)7科目が、2次試験では主に英語・理科・数学が受験科目対象となります。

また一般入試以外にも高校からの推薦を受けて受験することができる学校推薦枠を設けている学校もあります。この推薦は高校3年間の成績が影響しており、推薦を希望する場合は担任の先生に相談をしてみると良いでしょう。学校推薦における受験科目は面接、小論文、総合問題(5教科7科目)が主です。他にも社会人を対象とした社会人特別入試などを用意している学校もあります。

私立であれば受験科目は学校によって様々で国公立と同様な試験科目のところもあれば、センター試験のみで受験ができるセンター利用、筆記試験不要のAO入試、社会人を対象として面接・小論文を中心とした試験が行われる社会人入試などがあります。私立の方が受験科目の選択に幅があり、自分の得意・不得意に合わせた形での受験が可能といえるでしょう。

勉強方法

国立は必ず、そして私立では多くの場合で勉強しておいた方が良いのがセンター試験です。

リハビリの学校ではセンター試験を利用しているところが多く、またセンター試験に対する点数の比重が大きいです。そのためセンター試験を制すれば、受験の合格率はグッと上げることができます。二次試験に関しては基本的に難易度が増すため受験者の多くが点数を取ることができず、かつ点数比重も少ないため差があまりでないとされています。

センター試験の勉強方法は過去問の復習が効果的です。過去問は数をこなすことも重要ですが、間違ったところを理解するまで考え繰り返し復習すると効果的に点数を上げることができます。

受験料、受験時期、その他

受験料はセンター試験で3科目以上受ける場合は18,000円、2次試験で国公立の場合17,000円、私立の場合3,5000円程度必要となります。

受験時期はセンター試験が1月に、2次試験が国立の場合は2月末~3月に、私立の場合は多くが2月に行われます。試験はセンター試験→私立の学校の2次試験→国立の学校の2次試験という流れが一般的です。

また受験の出願に関しては国立の場合は併願ができませんが、私立の場合は併願をすることができます。そのため滑り止めとして私立に出願をしているという人も少なくありません。

国公立の大学に通った体験談

10年近く前に国立の大学(理学療法学専攻)に通っていました。ここでは実体験に基づいて国立を選んだ理由や良かった点・良くなかった点を紹介します。

国公立の大学を選んだ理由

私が国公立の大学を選んだ理由は学費の安さだけでした。私立の学校に通えるほどの学費は捻出できないと親から言われていたため、特に何かを考えることもなく国立を目指して勉強をしていました。

良かった点

国立の学校に通ってみてよかった点はいくつもあります。

まず学費です。学費は私立に比べると本当に安く、またさらに授業料免除申請をしたところ卒業するまでの4年間にわたって半額免除を受けることができました。また学費が安い一方で研究設備は非常に充実しています。卒業時には最新の動作解析装置を使用して研究することができ、卒業研究を学会発表そして論文としてまとめることができました。

授業内容もとても満足できるもので、特に併設されていた医学科で研究をしていた医師から受けた授業は今でも印象に残っています。新旧の研究を踏まえつつ細胞レベルで詳しく説明をしてくれた解剖学や病理学、整形外科学などで得た知識は医療にたずさわる上で十分な基礎となりました。

また働いてみてから感じたことなのですが、リハビリを行う上でトップに立っている医師から授業を受けられた経験は貴重だったということです。リハビリの処方は医師から出されるのですが、リハビリ職として働き出すと同系職からの講義は聞くことはあっても医師からの講義はなかなか聞く機会がありません。リハビリを依頼している医師の考え方や物の見方を少しでも知ることはとても重要なことで、学生時代に受けてきた授業は本当に良かったものだと思っています。

学生生活に関しては1専攻あたりの人数が20人だったためクラス全体そして担当教員ともとても仲良くなり、卒業をして10年近く経とうとする今でも関係が続き度々同窓会が開かれています。

良くなかった点

国立の学校に通ってみて良くなかったと強く思う点はありません。ただし少し気になる、大変だったという点であればあります。

1つは校舎がとても古かったことです。教室や実習室等どの部屋も古びていたのですが、特に印象的だったのがトイレでした。トイレはトイレに入るための扉はウエスタンドアのようになっており足元は丸見えで、始めは少し驚きました(女子トイレはドアに入ってから個室があるため安心して用はたすことができますが…)。ややプライバシーに欠けている空間でしたが、徐々に気にしなくなっていきました。

もう1つは国家試験対策が全く個人任せであったことです。私立の学校が授業で試験対策を行ってくれていると聞いていいなと思ったことはあります。また通っていた学校では就職活動、卒業研究も平行して行わなければならなかったため心身ともに大変疲れたことを覚えています。

まとめ:国公立か私立にこだわらず、自分に合った学校を探そう

リハビリ学校における国立・私立の違いについて実体験を交えながら紹介させてもらいました。国立は学費が安いものの、数が少なく学校の選択の幅が狭いです。私立は学費が高いものの国家試験対策が充実していたり、数が多いため自分に合った学校選びをしやすいです。


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国立・私立でそれぞれメリット・デメリットがありますが、学校選びをするにあたってはまず自分がどのようなリハビリ技士になりたいのか、どのような学校生活を送りたいのかを考えるようにしましょう。その上で紹介したような国立・私立の違いを参考にしたり、他にも授業の特色、学校設備、修了年限など様々な各学校における違いを参考にして自分に合った学校を探すようにしましょう。

学校選びが決まれば入学を目指した本格的な受験勉強が始まります。受験勉強は我慢することも多くストレスも溜まり辛いと感じることもありますが、リハビリ学校の場合は入学さえできれば夢の実現への道は大きく開かれます。今、取り組んでいる勉強は確実にその夢に近づく一歩になっています。がんばってください。