作業療法士になるには?

専門学校で国家資格を取得(3年制or4年制)

作業療法士になるには、まずは国家資格を取得する必要があります。その国家資格を取得するためには、”国家試験受験資格”を取得する必要がありますが、この受験資格の壁が高く、途中でリタイアしてしまう人もいます。
この受験資格は、専門学校の3年制or4年制で取得することが出来ます。専門学校は、大学に比べると裾野が広く、入学は比較的容易です。そのため、一度社会人を経てから再スタートにむけて受験を希望する方が多い傾向にあります。

大学で国家資格を取得

大学でも受験資格は取得することが出来ます。国公立はじめ、私立大、短期大学にわたり、リハビリテーション学部や、医学部付属のリハビリテーション課程など、全国に点在しています。

私立大学、短期大学の場合は、国公立よりも基礎教養は求められませんが、その分、募集人数に対して殺到する傾向にあり、面接や、一次試験などで受験者を絞ったりする学校がある一方、受験者が足りず、全ての受験者が合格してしまうなど、私立大、短期大学は徐々に吸収合併されているところが増えてきています。

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大学よりも専門学校が良い点

大学のデメリット

ひとつは、入学金の専門学校よりも多額であるということ。もうひとつは、学校によっては入学までのプロセスが長いということです。入学金がかかり、プロセスが長い分、社会人を経てから学ぼうとする人にとっては大学の選択は厳しいと言わざるを得ません。

また、大学の場合は、多数学部が存在し、広いキャンパスを授業毎に移動したり、場合によっては大人数での講義型授業になるため、教授や講師との距離もあり、必要な時に質問がしにくく、いわゆる「放置」型の授業体制になりがちです。それゆえ、大学に入れば国家試験に合格しやすいという訳ではありません。

専門学校のメリット

それに比べ、専門学校はどうでしょうか。専門学校は、大学に比べると裾野が広く、また、全国至るところに点在しており、入学金も大学に比べると比較的安価になります。その分、高校生はじめ、社会人経験者どちらにも、経済的、時間的にも優しいと言えるでしょう。

さらに、専門学校の場合は、そのほとんどが40人定員で、講義や実習を、密着型の指導のもと受けることが出来る分、国家試験合格率が高い傾向にあります。国家試験において、一番の壁になるのが「専門知識領域」です。その専門知識領域の問題には、座学では学びにくい「臨床知」を含んだ問題も多々見受けられます。その領域の問題に疑問を感じた時、すぐに臨床経験のある講師に質問が出来る環境がある、ないでは、国家試験合格率がどうなるかは言うまでもありません。

3年制と4年制専門学校の違い

卒業時の称号

得られる知識については大きな差はありませんが、3年制の場合は「専門士」と呼ばれる称号取得に対し、4年制の場合は「高度専門士」と呼ばれる称号が取得可能です。大学の場合は、博士号、修士など取得できますが、専門学校、大学と比べると、専門学校のほうが手に職をつけるという点ではスムーズです。

国家試験対策

対策ができる、できないかでいうと、圧倒的に3年制は時間的に不足しています。3年制の専門学校の場合、2年次までで、基礎、専門的知識に費やし、3年次に実習になりますので、単純に自己学習時間が短く、対策として不十分である故、国家試験受験資格に見合わない学生が増えたりします。

一方、4年制の専門学校の場合、2年間は基礎、専門教養、3年次から専門教養、4年次に実習という、スケジュールに余裕をもった形で学習をすすめていくことが可能ですので、国家試験合格率が高い水準で安定しています。

実習

実習の違いについては3年制、4年制ともに大きな違いはありません。実習の大きな枠組みは、学校によって異なるものの、内容については実習先に準拠することがほとんどです。違いがあるのは、実習後のフィードバック体制にあります。

3年制の学校の場合、入学してくる人のデマンドとして「早く取得したい」があります。そのため、実習後については、個々での実習の様子についてのフィードバックや、今後どうすべきかなどの対策について検討する時間が少ない傾向にあります。

それに対して4年制の場合は、こういったバックアップ体制が整っており、時間はかかる分、より密なフィードバックから、自分なりの作業療法像を固めて就職することが可能です。

就職

就職先については、3年制、4年制の違いよりも、学校の特色や、学校の講師の手腕で変わってきます。就職は、3年制、4年制どちらでも可能ですが、しっかりと学んで準備のできている人のほうが欲しいというのが率直な意見ですので、どちらが望ましいかは言うまでもありません。

学生生活

3年制と4年制とでは、圧倒的に4年制のほうが勉学以外の余暇に時間を割くことが出来ます。3年制のメリット(後に後述します)には、早く免許がとれることが挙げられますが、その分だけ短い期間で詰め込む形での学習スタイルになりますので、勉学以外のこと(バイトや友人との交友)に割ける時間が、4年制よりも少なくなります。

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3年制と4年生専門学校のメリットデメリット

3年制のデメリット

先述していますが、短期間での詰め込み学習スタイルになりますので、学生に対しての負担が非常に強くなります。また、社会人が多く入学することからも、年齢幅が大きく、同学年間でのコミュニケーション摩擦が起きることもしばしばあります。

3年制のメリット

一番のメリットは、先述したように国家資格が早く取得でき、誰よりも早く臨床家になれるという点です。4年制に進んだ人よりも1年早く臨床に出ますので、学校での1年間と、臨床での1年間は、はっきりいって天と地の差があります。社会人としての礼節だけでなく、座学以外で学ぶ”臨床知”の量が非常に多いからです。

4年制のデメリット

4年制で学べる分、時間にゆとりはありますが、学習スタイルとして、一つ一つの科目がじっくりと、ゆっくりになる分、早く資格をとりたいと思っている人にはデメリットになりえるでしょう。

さらに、4年制の場合は、卒業論文や、研究などの、臨床家としてのノウハウだけでなく、研究家としてのノウハウも学ぶ必要がありますので、医学的な知識だけでなく、統計や、情報処理の知識なども求められる分、学生に負担になる可能性があります。

4年制のメリット

4年制のメリットは「極めて高い国家試験合格率」です。年々、作業療法士の国家試験合格率は毎年70%台前半~80%台後半で推移していますが、4年制の専門学校及び大学で、この合格率を下回っているところはほぼないと言っても過言ではありません。

4年制のほうが、国家試験受験資格を得るまでの道のりが長い分、資格を得て合格をするまでのフォローアップが手厚く、時間とお金をかけた分だけ、安定して就職までつなげることができるというのが大きなメリットです(もちろん、個人の努力も必要です)

3年制か4年制で迷ったら?

3年制に向いている人

社会人の方は、3年制のほうが向いているでしょう。早く再就職まで持っていける分、家庭を持っている方は3年制を選ぶべきかと思います。また、すでに理学療法士の免許を持っていて、ダブルライセンスで、作業療法士を取得しようと思っている人は、3年制のほうがより早く取得できます。学校によっては基礎教養免除で、2年で取得できる可能性もあります。

4年制に向いている人

基本的に、3年制に向いている人は少数派です。基本的に、作業療法士資格というのは、3年制では無理がありますので、4年制できちんと学ぶことをおすすめします。向いている、向いていないではなくて、迷っているなら4年制を選ぶようにしてください。

3年制より4年制の専門学校をおすすめする理由

まとめ

4年制のほうが、1科目あたりに時間を割ける分、臨床に必要な知識をじっくりと深く学ぶことが出来ます。3年制でも個人の努力で深く学ぶこともできますが、臨床で働く人間からの率直な意見として、4年制卒の人のほうが、即戦力として動ける人が多いです。

特に新卒の場合はその傾向が強いです。3年制だと、新卒の場合は21歳で社会に出ます。高校を卒業して、基礎教養や社会人としてスキルアップの経験がほとんどないまま社会人になりますので、現場では、基本的な礼節から指導しなければならないことが多くあります。

3年制は結果的に早く資格を取得できますが、その分だけ臨床家として”使える”レベルになるまで時間もかかりますので、総合的にみて、同じ作業療法士になるなら4年制専門学校のほうがお薦め出ます。

今回の記事が、これから作業療法士を目指そうとしている人の参考になれば幸いです。

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