理学療法士の就職先には病院・クリニック・介護福祉施設・養成校・スポーツ分野があり、または開業を決断する理学療法士もいます。ここでは病院・介護福祉施設での勤務経験がある理学療法士が各就職先の仕事内容や休日、給料などについてご紹介します。各就職先の実際について知りたい人は是非参考にしてください!

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理学療法士の主な就職先

理学療法士の主な就職先は病院・クリニックや介護福祉施設です。これらの施設は一般的には一括りで表現されていますが、実際は役割に応じて細かく分類分けがされており理学療法士としての仕事内容も異なります。

病院・クリニック

多くの理学療法士が病院・クリニックに就職します。病院・クリニックは主に急性期・回復期・療養・外来・大学病院・地域中核病院に分類されます。

急性期病院(病棟)

急性期病院(病棟)とは最先端の医療設備と技術を兼ね備えており、主に急性期(病気発症の初期)の患者さんを治療する病院です。

急性期は治療に専念する時期で、積極的なリハビリが行われるというケースは少ないでしょう。理学療法では基本動作を向上させることをメインにするのではなく、廃用症候群の予防・合併症の予防(ポジショニング、体位交換、呼吸理学療法、関節可動域練習、低負荷での運動)がメインとなります。再発・悪化・合併症併発といった状態変化がよくみられ安静度変更がよくあり、患者周辺機器(点滴、酸素吸入器…)も多いため理学療法のリスクが高くなります。理学療法中はこまめに全身状態や周辺機器の状態をチェックしリスク管理を行わなければなりません。

また担当する患者数も多く、1人に対して掛けられる単位数(理学療法に掛ける時間)も少ないです。そのため仕事中は非常に動き回り、またハイリスクの患者さんと常に対峙するため常に緊張感があり精神的にも疲労することが多いです。残業も多めで、患者数が多いため勤務時間外にカルテや書類を書くことが少なくありません。そのため十分な体力が必要となる職場と言えます。

給料は基本給などは他とあまり変わらないものの残業手当を多く得ることができ、休日は土日祝休みというところが少なくありません。また連休が取りやすく1週間程度の連休をもらえる場合もあるようです。

回復期リハビリテーション病院(病棟)

回復期病院(病棟)とは急性期を脱して状態が落ち着いた患者さんに対して、身体機能の回復を目的としてリハビリテーションを行う病院のことです。

積極的なリハビリテーションが行われる時期で、退院後の生活を意識した基本動作練習や日常生活動作・日常関連動作練習、福祉用具の選定、環境調整などが行われます。理学療法の効果も実感しやすく、患者さんの状態がドンドンと良くなっていく姿を見ることができます。

担当する患者さんの数は少なく1人に対して掛けられる単位数も多めで、長ければ1人に対して4単位(80分)の時間をかけてゆっくりと患者さんと向き合うこともあります。

しかし回復期リハビリテーション病院(病棟)では365日リハビリテーションが行われるため土日祝に休みをもらえるということはなく、シフトによる勤務となります。加えて担当患者さんとの関係が深くなる傾向にあるため連休をとると患者さんによっては不満を感じることがあり、あまり長期の連休は取りづらいという場合があります。

給料は平均的なところが多いです。

療養型病院(病棟)

療養型病院(病棟)では回復期を終えて慢性期に入ったものの医療行為が持続して必要となる方を対象とする病院(病棟)です。

慢性期に入っているため、主に身体機能の維持・低下の予防を目的とした理学療法が行われています。ポジショニングや体位交換、関節可動域練習、簡単な関節運動や基本動作練習などが関節拘縮予防、筋緊張の緩和、廃用症候群の予防、QOLの向上を目標に実施されます。

1人に掛ける単位数は少なく、1ヶ月で13単位(260分)までと制限されています。

療養型は急性期、回復期と併設されていることが多いため、勤務形態は急性期や回復期に合わせた形となります。給料は平均的なところが多いです。

外来

入院患者さん以外に外来患者さんに対しても理学療法は実施されます。肩が上がらない、膝が痛い、腰が痛い、歩きにくいなど様々な主訴に対してアプローチをしていきます。

一定期間内での症状改善を目指すことはもちろん、外来患者さんは即時効果を求める方も多くおられます。即時効果を感じてもらえなければ通院を止めてしまうというケースも少なくありません。外来患者さんは入院患者さん以上にシビアな目でセラピストを見ており大変な事もありますが、その分やりがいを感じられます。

休日は外来患者さんだけを担当している場合であれば病院がお休みの日(主に土日祝)がそのまま休日になるというケースが多いです。長期休みは外来患者さんにしっかりお伝えさえすれば比較的取りやすい環境です。給料は平均的なところが多いです。

大学病院

大学病院は急性期病院(病棟)に属するため基本的な業務内容はそれと同様のものとなりますが、一般的な急性期病院(病棟)に比べて研究にも力を入れています。研究設備はもちろん、研究に関する教育体制、学会発表・論文発表へのサポートはとても充実しています。学会発表・論文発表に関しては国内だけでなく世界を舞台とする人もいます。

理学療法を臨床という側面だけでなく研究の面からも追及することができ、幅広くそして深く知識・技術を磨くことができます。しかし日々の患者さんとしっかりと向き合った上で更に研究を行うため、夜遅くまで残業をすることがしばしばあり体力が必要となります。

ただし研究は毎日しなければならないものではないため、連休は急性期病院と同様に取得することができます。

給料は残業手当が多くなるため、所得は高い職場です。

地域中核

地域中核病院とは地域医療の中心となる病院のことで、クリニックや医院では難しいような検査や治療が行われます。急性期病棟、回復期病棟、療養病棟、また地域包括ケア病棟という在宅復帰を目指した病棟が設置されていることが多く、病院によってはデイケア・デイサービス、訪問リハビリも設置しているところがあります。急性期~慢性期まで幅広く患者さんをみることができ、地域の人たちと関わり合いを持ち長く付き合いながら仕事をすることができます。

給料は平均的なところが多く残業や休日に関しては病院によって大きく異なるため、事前に確認しておくと良いでしょう。

介護老人保健施設

介護老人保健施設とは病院と自宅の中間施設で、在宅復帰を目標とする方が主に利用されます。心身機能の回復を目指して理学療法は行われますが、利用者さんは一定期間の入院を経てから入所するため回復期のような劇的機能向上は難しいことがほとんどです。

そのため在宅復帰に向けては補助具の選定、環境調整(家屋改修、福祉用具の利用など)、サービスの検討、家族指導なども重要です。医学的知識だけではない幅広い知識を持って1人1人に合ったリハビリを行うこととなります。

休日はシフト制のところが多く、給料はやや高め程度の所が多いです。

有料老人ホーム

有料老人ホームとは食事・介護・家事・健康管理などのサービスが付いた住居のことです。運動機能の維持を目的として入居者さんに対して個別もしくは集団で理学療法を行ったり、安全な入居生活が送れるように福祉用具を検討したり、スタッフに対して介助方法を指導することもあります。担当の方とは長期にわたって関係性を築くこととなります。

休日はシフト制のところが多く、給料は高いです。

訪問リハビリ

訪問リハビリでは理学療法士が自宅を訪問しリハビリを行います。身体機能維持を目的とした理学療法はもちろん、自宅での生活に危険個所がないか(動線など)、福祉用具は適切に設置・使用されているか、本人・家族のホープ・ニーズの把握や状態説明、介助方法指導などを行います。実際の生活に根付いたリハビリを行うことができます。

土日祝休みというところも多く、残業は書類作成の忙しくなる月末に集中する傾向があります。給料は他分野に比べて高く、歩合制という所もあります。

デイケア・デイサービス

デイケア・デイサービスとは地域在住の介護認定を受けた方が介護サービスやリハビリを目的として通う日帰り施設です。利用者さんに対して個別もしくは集団で理学療法を行ったり、スタッフに介助方法を指導したり、また自宅での生活状態(家屋環境・生活習慣など)の確認をしてリハビリとしての観点から提案などを行います。有料老人ホームと同様に担当の方とは長期にわたって関係性を築くこととなります。

休日は日曜休みというところは多めで残業は少なく、給料は平均的です。

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理学療法士のその他就職先

少数派ではありますが養成校やスポーツ分野に就職する理学療法士、または開業をする理学療法士もいます。

リハビリ養成学校の教員

リハビリ養成学校(大学・専門学校)の教員は授業、実習・就職指導、学生指導、研究指導、研究などを行います。養成校によっては系列病院や関係施設などで臨床に立つこともあります。

理学療法士としての知識を学生に分かり易く指導することはもちろん、生徒によっては学校に来なくなることや深い悩みを抱えてしまうことがあるため教員として的確で思いやりのある指導力が求められます。

1度教員として就職をすると途中退職をする人はあまりいないため求人は少ないです。求人は公募する養成校もあれば系列病院で働いている理学療法士位をそのまま教員として採用するケースもあります。また応募資格を大学院卒という制限を設けている養成校もありますが、養成校に就職をしてから養成校側の負担で大学院に通わせてくれるというところもあります。

休日に関しては基本的には土日祝休みというところが多いですが、研究指導や学会参加に休みを費やすこともあります。残業もしばしばあり、養成校によっては夜間授業を行っているところもあります。給料は高いです。

また養成校の教員は個性的な人が多い傾向が見受けられます。

スポーツ分野

スポーツ分野ではスポーツ選手のコンディショニングやトレーニング指導などを行います。トレーナーのような働き方で、アマチュア、プロ、障がい者に指導をします。

理学療法に対するモチベーションが高く知識・技術ともに優れた人が多い傾向があり、理学療法士以外の資格(アスレチックトレーナーなど)を有している人も少なくありません。

土日祝が休みということは少なく、給料には幅があるようです。

理学療法士安定して働き続けられる職種

理学療法士は求人量・就職先の将来性からみて、安定して働き続けることができる職種といえます。また仕事だけでなくプライベートも充実させられるのが理学療法士の魅力でもあります。

求人

理学療法士の求人は豊富です。そのため資格があるのに就職ができないという人はほとんどいません。新卒者はもちろん、出産・育児などで1度職を離れた人であっても比較的再就職がしやすい環境です。

ただし求人の多くは病院・クリニック・介護福祉施設のものです。そのため人口の多い地域に求人が集中する傾向にあり、地方になると求人がないというところも存在します。

転職

理学療法士は求人が多くあるため、1度就職をしても比較的転職がしやすい職種です。また新人教育には時間が掛かる職種なので経験者優遇という求人もよく見られます。実際に転職をする理学療法士は多くおり、私が働いていた職場では半数程度が転職してきた人たちで構成されていました。

就職先の将来性

理学療法士の就職先は病院・クリニック・介護福祉施設なので突然経営破綻となるところはほとんどなく、将来的にも安定して働き続けることができます。リストラや給料の大幅削減といった心配はそれ程必要ありません。そのため安心して人生設計を描くことができます。

仕事とプライベート

理学療法士の仕事は夜勤がなく残業も少ないというところが多いので、仕事とプライベートを両立させやすいです。また女性の場合は産休や育休も安心してとることができ、育児期間中は時短勤務を利用している人も少なくありません。

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