現代社会では、「男性である」「女性である」という固定観念に基づいた考え方はあまり推奨されていません。ただ、脳の構造的にも多少の男女差は存在する、と証明されているため、一般的に得意、不得意などの差は大なり小なりあるようです。

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今回は、ひいき目になるかもしれませんが、筆者である私の女性目線からみた女性作業療法士の魅力についてお話ししたいと思います。

女性から見た作業療法士のやりがい

作業療法士は、クライアントの生活の質の向上のためにアプローチする職業であることをふまえて、女性ならではの作業療法士のやりがいとはいったいどのようなものでしょうか?

女性の強みを生かせる

大昔から、男性は食料を得るために何日も外で過ごし、女性はその間、家の中や周りでの生活をしていました。そのため、女性の方が男性に比べ現代における生活(主に衣食住にまつわることなど)をこなすことが得意であると言われています。

作業療法の目的である「生活の質の向上」これは、まさしく、その女性が男性より得意とする分野を担っていると私は考えます。クライアントがどのようなことを向上させたいか、はクライアントそれぞれ違いますが、個々の生活の細かな部分を対応するとき、女性特有の能力は十分に発揮できると思います。具体的には後の章でお話しします。

人のために働ける

女性は、家族を守るための能力が男性より高い、とも言われています。作業療法士は、クライアントの生活ために最善を尽くす職業です。それが、そのクライアントの安心した生活につながるのであれば、人のために女性の能力を生かして働ける職業は、女性にとっての大きなやりがいにつながると思います。

作業療法士の女性求人は増えている

実際、作業療法士の男女の内訳に目立った差はあるのでしょうか?

男女問わず求人は増えている

現時点で作業療法士の求人は増えています。求人の条件を見ても、男女のどちらかを指定している求人は目にすることはありません。

求人が増えていることの理由としては、高齢化社会に伴い、福祉施設がますます増加しているため、また、病院では患者の回復を早めるために以前以上にリハビリに力を入れるようになり、作業療法士の需要が増えているためと考えられます。高齢者だけではなく、小児、精神科の分野でも作業療法士の必要性が高まって生きていることも理由として挙げられます。

作業療法士の男女比

作業療法士の男女比は、統計上、日本だけでなく世界的に見ても女性の方がやや多い傾向にあります。

ただ、私がこれまで、専門学校や実際の現場で女性の方が多い、と意識したことはあまりありません。勤務先にもよるのかもしれませんが、介護職はほとんど女性、という印象がありますが、実感としては、作業療法士は目立った男女比を感じません。

作業療法士は、多様な働き方ができる

作業療法士はリハビリ職です。勤務先の多くは病院や施設での内勤ですが、最近は訪問リハビリなど、クライアントの自宅に訪問してリハビリを行うという働き方の求人を多く見かけるようになりました。病院でも施設でも訪問でも、正職員として働く以外にパートや非常勤で働く働き方をしている人が多くいます。特に、女性の場合は、結婚後、正職員ではなくパートで週数日短時間だけ働いている人も多いです。

作業療法士は女性が働きやすい環境が整っている

女性作業療法士が感じる働きやすさとは、具体的にどのようなところでしょうか?

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産休や育休制度が充実している

作業療法士が正職員として働く場合は、ほとんどの場合、産休や育休の制度が整っています。それは、作業療法士の就職先は病院や施設など、福利厚生がしっかりしているところが多い、ということが理由としてあると思います。また、大きな病院やグループ経営の施設などであれば託児所のあるところもあります。働く女性にとってありがたい制度です。

離職しても、再復帰しやすい

出産に際し、産休や育休を取らずに離職することもあると思います。その場合、作業療法士であれば、再復帰は難しいものではありません。作業療法士の資格があれば今のところ求人はとても多く、パートでの復帰であっても一般のパートの時給よりも高く設定されているので、勤務時間に対する収入は少なくはありません。

女性ならではの強みを生かせる作業療法士

女性作業療法士のやりがいの章でお話しした、女性ならでは強み、について、具体的にはどのようなことでしょうか?

コミュニケーション

一般的に、女性は男性に比べコミュニケーション能力が高いと言われます。作業療法を必要とする方の中には、コミュニケーションをとることが困難な状態になっているクライアントもいます。また、小さい子供でも見られますが、相手が大人の男性の場合、少し緊張してしまう、という人もいます。その点、女性の方が第一印象で安心感を与えやすいことがあると思います。

また、女性の方が様々な話題を引き出すのがうまい、など、女性ならではの強みではないかと思います。(もちろん、男性でもコミュニケーション能力の高い人はたくさんいます)

気配り

女性は細やかな気配りが得意、とも言われています。何らかの援助を必要とするクライアントにとって、さりげない気配りができる人のとの関わりは、安心できるものです。作業療法士は、クライアント本人だけではなくそのご家族や周りの人とも多く関わる職業です。その人たちの思いもくみ取って気配りできる、これも女性の強み、と言えます。

具体的な生活の知恵

私が特に女性作業療法士の強みと言えるのは、これだと思っています。

家庭内で様々な工夫をしながら、その時その状況に合わせて生活している女性はとても多いと思います。自分だけでなく、家族の状況まですべて考慮しながら生活するのは大変な苦労があります。これは、多くが男性ではなく女性の経験だと思いますが、その経験がある女性にとって、クライアントの生活上の問題を解決するのはかなり大きなやりがいを感じると思います。男性では思いつかないようなことをひらめくときもあります。そのような経験を生かすことのできる女性作業療法士は強いと思います。

女性が作業療法士を目指す上で気をつけておきたいこと(知っておきたいこと)

女性だからこそ、気をつけてほしいこと、覚えておいてほしいことがあります。

患者さんとの関係(セクハラ、モラハラなど)

女性作業療法士が特に気をつけたいのは、やはり、男性クライアント(やその家族など周りの人)との関係だと思います。最近では、作業療法士に関わらず、また、男性にも言えることですが、特に女性は気をつけなければいけないと思います。男女で1対1での接触はしないようにしましょう。何かが起こるとは限りません。ただ、未然に防ぐためにできることはやらなければいけないと思っています。

例えば、訪問リハでクライアント宅を訪れる際、また、クライアントとの面接で1対1になる場面がある際、どうしてもという場合でも、決して油断しないようにしてください。

ホウレンソウ(報告・連絡・相談)

どちらかというと、女性は男性に比べて、一人で抱え込んでしまったり、考えすぎてしまう傾向があるそうです。これも、どの職業でも同じことが言えますが、しっかり「報告・連絡・相談」しなければいけません。上司以外にも、多職種でもいいので、誰か話がしやすい人を見つけてください。

私は、以前精神科の病院に勤務していたことがありますが、その時、先輩から「患者さんに深く関わると自分が見えなくなることがあるから、自分を現実に戻してくれる人(できればドクター)と話ができる関係を持った方がいい」と言われたことがあります。人間関係の良い職場だったので、何も問題はありませんでしたが、それも、トラブルを未然に防ぐうえで大切なことだと思います。

現役の女性作業療法士より資格取得を目指す女性へアドバイス

作業療法士になってみて、私は、作業療法士は一生続けることができる職業であると思いました。女性が活躍できる職業はほかにも多くありますが、作業療法士は、特別な技術や才能がなくても、自分の生活そのものが役に立つ職業ではないかと思います。生活上のこれまでの経験を生かしたり、クライアントとコミュニケーションを取ったり、それがすべてクライアントの治療につながる、そんな素敵な職業はほかにあまりないのではないかと思います。

女性ならではの、そしてあなたならではの強みを生かして、魅力あふれる作業療法士を目指してほしいと思っています。

参考記事

理学療法士は女性ならではの強みが生かせる魅力的な職業

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