国家試験の受験経験者でもある現役の理学療法士が理学療法士国家試験の難易度・合格率・おすすめの勉強法について、アドバイスを交えてご紹介します。

理学療法士国家試験

理学療法士国家試験の難易度・合格率

理学療法士国家試験の難易度と合格率

理学療法士国家試験の難易度は決して低いものではなくむしろ専門性ある幅広い知識が要するため難しいと言えるのですが、その合格率は大体が80%以上と高いものです。
最近の合格率で言えば2014年の合格率が83.7%、2015年では82.7%、2016年では74.1%となっています。

理学療法士国家試験は意外と合格率が高い?

理学療法士国家試験の合格率は数字だけで言えば多くが80%以上であって、意外と高いものです。

しかし合格率の推移をみていくと、年々低下傾向にあります。
1997年~2007年では合格率は何と90%以上をキープしていたのですが、2008年~2015年では多くが80%台、そして2016年では70%台までへと低下しました。


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かつて理学療法士の数は需要に対して不足しており、このことから国家試験の難易度も上げることができなかったのですが、近年の理学療法士の数の増加したことからその試験の難易度は上がり門戸は狭くなってきていると言われています。

また合格率という数字だけを見て安心をしてはいけません。

前述しましたが理学療法士国家試験は専門性ある幅広い知識が問われる試験で、難易度は決して低くありません。解剖学、運動学、生理学、リハビリテーション医学、臨床知識などが問われます。過去問を調べてみると、その問題の難しさを痛感することができるでしょう。

十分な勉強時間を確保しなければ決して合格することのできない試験と言えます。

理学療法士国家試験の受験者

理学療法士国家試験者数は1997年では受験者数が1,889人、2011年以降は1万人を超えるようになり、2014年では11,129人、2015年では12,035人、2016年では12,515人でした。
1997年~2016年においては受験者数の急激な増加がみられましたが、近年ではその増加は緩やかなものとなっています。

新卒・既卒の内訳は2016年においては新卒が10,562人で全体の84.4%、既卒が1,953人で全体の15.6%でした。
なお新卒・既卒の合格率は2016年においては新卒が82.0%、既卒が31.2%と既卒の合格率が明らかに低いということが分かります。

受験者の男女比は理学療法士協会の2016年3月末時点における21~25歳の男女各会員数は男性が11,511人、女性が8,058人であることから、受験者数の割合においても男性の割合の方がやや多い傾向があること推測されます。

理学療法士国家試験の勉強法

私が受験生のときに行った理学療法士国家試験の勉強法をご紹介

私が受験生のときに行った理学療法士国家試験の勉強法は、過去問の復習です。

理学療法士国家試験では毎年新傾向の問題が出されているものの、多くの問題は過去と同様の傾向のものです。
そのため取るべきところ(過去と同様傾向の問題)で点数をとることに重点を置いた勉強法を選択しました。

まずは過去10年程度が収められた本を購入して国家試験の問題を解き、間違った問題を書き出します。
そして暗記が必要なものであれば繰り返し頭に叩き込み、また理解が必要なものであれば病理学、生理学、運動学などと照らし合わせながら解るまで調べました。

しかし国家試験に対するモチベーションの維持は難しいものでした。私の通っていた学校では国家試験対策は全く行われず、むしろ同時期に卒論研究を夜中まで行ったり就職活動もしなければならない状態だったため、様々なことに焦りを感じ勉強に対して上手く集中ができない時も多くありました。

このような時に救いとなったのがクラスの仲間です。誘い合って一緒に勉強時間を作ったり、お互いに模擬授業のようなことをして知識のアウトプット・インプットを楽しい雰囲気で行っていました。

国家試験の勉強は辛いと感じた時も多くあり、このようなモチベーションの維持方法も重要な勉強法の1つかと思います。

友人、知人が行っていた他の勉強法をご紹介

友人、知人の中にはパソコンディスクやスマホアプリ、メールサービスを利用して勉強をしている人もいました。

パソコンディスクやスマホアプリでは理学療法士国家試験の過去問が収録されており、特にスマホアプリはどこでも気軽に勉強をすることができ便利かと思います。

メールサービスでは理学療法士国家試験の過去問が毎日解説付きでメールされるというものがありました。送られてくるメールを通じて勉強ができるため、勉強量としては少ないですが意気込むことなく気軽に勉強ができます。

勉強が苦手な人へのメッセージ

日々の勉強お疲れ様です。
国家試験は勉強するところが多く、詰め込まれていく知識と溜めこまれていくストレスで頭がパンクしそうになることもあるかと思います。

知識の詰め込みを感じるようになったら、一緒に理学療法士を目指しているPT仲間に詰め込んだ知識を話して聞いてもらってください。仲間に知識を披露するのが恥ずかしければヌイグルミなどでもいいです。インプットだけではなくアウトプットすることで知識は頭の中で整理することができます。

ストレスを感じるようになったら、「きっと合格する!」と思い込んで2、3日勉強せずに遊んでみてください。好きな食べ物をたらふく食べてみたり、スポーツや旅行なども良いでしょう。要所で息抜きは必要です。

少しずつ勉強を積み重ねていけば受かることができる試験です。過度な心配をして余計なストレスを抱える必要はありません。真面目に地道に根気よく、悔いを残さないように頑張ってください。

理学療法士国家試験の概要

理学療法士国家試験には①筆記試験と②口述試験及び実技試験があります。口述試験及び実技試験とは目の不自由な方などに対して行われる試験です。

そのため理学療法士国家試験では筆記試験を十分に受験できている場合は口述試験及び実技試験は不要となります。

試験日

理学療法士の国家試験は例年2月末に実施されており、平成29年では筆記試験は2月26日(日曜日)、口述試験及び実技試験は2月27日(月曜日)に実施されています。

受験資格

受験資格は理学療法士養成学校において、3年以上理学療法士として必要な知識及び技能を修得することで与えられます。これは試験の年に修業し、又は卒業する見込みの者を含まれます。

また他には外国の理学療法士養成学校を卒業した方や、外国で理学療法士免許に相当する免許を取得している方などにも受験資格が与えられます。

場所

筆記試験が受けられる場所は北海道、宮城県、東京都、愛知県、大阪府、香川県、福岡県及び沖縄県です。
口述試験及び実技試験は東京都のみとなります。

試験科目と試験方法 内容など

筆記試験は一般問題と実地問題の2科目が実施されます。

一般問題では解剖学、生理学、運動学、病理学概論、臨床心理学、リハビリテーション医学、臨床医学大要、理学療法が含まれます。

実地問題では運動学、臨床心理学、リハビリテーション医学、臨床医学大要、理学療法が含まれます。

口述試験及び実技試験では運動学、臨床心理学、リハビリテーション医学、臨床医学大要、理学療法が含まれます。

その他留意点など

試験を受けるためには事前に書類の提出が必要となります。
2017年の試験では書類の提出期限は、2016年12月15日(木曜日)から2017年1月5日(木曜日)までとなっていました。

提出する書類は以下の通りです。

・受験願書(受験手数料10,100円の収入印紙の貼り付け必要)
・写真(縦6㎝、横4㎝)
・返信用封筒(宛先記入、522円の郵便切手貼り付け必要)
・修業証明書若しくは修業見込証明書又は卒業証明書若しくは卒業見込証明書
(外国で理学療法士養成学校を卒業している場合は理学療法士国家試験受験資格認定書の写し)


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これら書類提出後、1月末に受験票が到着します。

理学療法士と他の国家試験について

理学療法士以外の国家資格

理学療法士以外の国家資格としてリハビリ関係では作業療法士、言語聴覚士、柔道整復師また医療関係では看護師、薬剤師、栄養士、歯科衛生士などが存在します。

他の国家試験との違い

理学療法士と似たように感じる医療資格として作業療法士や柔道整復師が挙げられると思いますが、例としてこの2つの国家試験と理学療法士国家試験についての違いを紹介します。

まず作業療法士との違いは理医学療法の問題が作業療法士の国家試験には含まれない一方で、作業療法の問題が含まれます。

柔道整復師との違いは心理学系の問題が柔道整復師の国家試験には含まれない一方で、公衆衛生や柔道整復理論や法律関係の問題が含まれます。

他の国家試験との共通点

上述したように作業療法士や柔道整復師の国家試験と理学療法士の国家試験はもちろん異なるものなのですが、共通点も存在します。

いずれの資格も試験では解剖学、生理学、病理学といった医学の基礎的知識が問われます。特に作業療法士国家試験では医学基礎問題が理学療法士国家試験のものと同様になります。

このような基礎的知識は医療現場に立つ上でどの職種においても必須の知識と言えるでしょう。

まとめ:受験生へのメッセージ

現在リハビリ学校に通っている方へ

理学療法士国家試験は専門知識が求められるため、網羅すべきところも多くとても大変です。学校によっては卒業研究と同時進行で国家試験の勉強をしなければならないところもあります。

しかし臨床実習を通じて感じた方も多くおられると思いますが、理学療法士は非常にやりがいのある仕事です。

自分が考案した運動や会話を通じて患者様や施設利用者様が元気になられていく姿を見るのは本当に幸せに感じます。また理学療法士ほど患者様や施設利用者様と1対1で向き合うことができる医療職はあまりいないでしょう。

自分の目指す理学療法士になるために、国家試験通過へ向けて勉強を頑張ってください。

これからリハビリ学校を選ぼうとしている高校生、社会人、その保護者へ

理学療法士は日々の生活に何らかの理由で心身に困難さを抱えている患者様や施設利用者様と向き合い、そして生じている問題を解決していく世の中の役に立つことができる仕事です。

またその活動の場は病院や施設への勤務だけではなく、一部ではありますがトレーナー、整体、スポーツ用品の開発、メディアへの露出など様々な方面へと広がりをみせています。


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しかし理学療法士の国家試験は楽なものではありません。試験内容は専門性があって難しいものです。
ですが興味があれば専門性ある内容だからこそ勉強をすればするほど面白味を感じるようになります。

「人の身体に興味がある」、「誰かを良くしたい」という気持ちがあればきっとやる気、探求心を持って勉強できるでしょう。