理学療法士の専門学校には夜間に通える課程もあります。昼間課程との違いや夜間課程ならではの特徴やメリットなどを、実際に夜間専門学校に通った現役の理学療法士が解説いたします。
理学療法士&リハビリ学校の種類
理学療法士として、国家試験の受験資格を得るには大学・または専門学校に通う必要があります。これらの学校には以下の種類があります。
昼間の専門学校
理学療法学科のある専門学校です。大学と異なり学位の取得ではなく、就職により特化した分野になっており、カリキュラムもより実践的な内容を意識したものが多いのが特徴です。授業時間数も多く朝~夕方までの時間帯で学びます。
学校には短期の3年制と4年制があり、3年制の魅力は早く卒業できることですがその分スケジュールがタイトになっている傾向があります。反面4年制は卒業までの時間がかかりますが、国家試験や臨床実習の時間数など、より卒業後をイメージした授業をゆっくりと受けることができるメリットがあります。
昼間の大学
昼間の専門学校と同じく、午前中から夕方にかけて理学療法士について学びますが、大学卒の学位がつきます。授業のシステムも通常の大学と同様で、一定の単位数を取得することが目的になります。
期間も専門学校と同様、4年制の大学と3年制の短期大学があり、それぞれのメリットも昼間の専門学校とほぼ同様と言ってよいでしょう。
夜間課程の専門学校
カリキュラムの目標は昼間専門学校と同様ですが、授業の時間帯が夜間18:00頃~となっているのが特徴です。
夜間過程の専門学校にも3年制と4年制の2種類があります。学位や専門士など学校によって卒業時にとれる資格は若干異なりますが、これらの専門学校に通うことで国家試験の受験資格を得られることができます。
スポンサードリンク
ですのでそれぞれの状況や、メリットにあわせて自分に合った専門学校及び大学を選択する必要性があります。
理学療法士の夜間専門学校数について
理学療法士の夜間専門学校はどのぐらいあるのか調べてみました。
全国に夜間課程がある専門学校はいくつある?
現在日本には大学、専門学校を含めた養成校が258校(平成29年2月9日現在)あり、うち夜間部の受け入れを実施している養成校は37校あります。その中でも3年制と4年制の専門学校があります。
夜間部を持つ養成校は全体の15%程度と決して多くはありませんので近隣の養成校が夜間部を募集しているのかを確認しましょう。
受験者数と入学者(倍率)
受験者数、入学者数は養成校の多い地域と少ない地域など学校によって違いはありますが関東の専門学校、大学を例に挙げると偏差値は45~55程度で平均的に推移しています。
養成校自体は、昔と比較するとかなり増えており、毎年1万人程度の理学療法士が誕生していますので入学すること自体はそれほど大変ではありません。
理学療法士の夜間専門学校に通うメリット
メリット1 学費の安さ
夜間部の学費は昼間の専門学校に比べて授業数が少ない為、年間にかかる授業料が安い傾向にあります。その額については養成校ごとに異なりますが、総額で20万円程度から40万円程度と大きく差があります。
たとえば昼間部に4年間通う場合と夜間部に4年間通う場合では学費が年間40万円の差がある学校では総額160万円もの違いが出てくると考えるとその差は大きいですね。
メリット2 働きながら学べる、昼間に勉強ができる。
多くの夜間の専門学校では授業(4年次は除く)が18:00~22:00頃の間で行われます。そのため社会人の方や昼間はアルバイト等をしながら学費を稼ぎたい人にとっては都合の良い時間帯となります。
またアルバイト等をしない場合でも、夜間の学科を選択することによって昼の空いた時間に勉強を行うことができます。授業の予習や復習などを余裕をもって行えますし、昼間は別の学校に通うダブルスクールの学生にもおすすめです。
メリット3 一緒に通学する仲間が魅力的
同じ学校の中でも昼間の学生と、夜間の学生では年齢層が異なります。昼間は現役(高校卒業から入学)の人から比較的若い人が多く年齢層は18~25歳ぐらいがほとんどになります。
反対に夜間では働きながら、資格を目指す方も多い為年齢層は若干上がります。実際に社会人から資格を目指す方は周りが年下ばかりにならず、安心して通えますし、現役の若い方でも様々な社会経験を積んだ同級生と過ごすことで違った視点を手に入れることができます。
理学療法士の夜間専門学校に通うデメリット
デメリット1 大学卒の学歴が得られない
大学との違いになってしまいますが、当然専門学校だと大学卒業の学歴を得ることができません。理学療法士の世界では現在、大学卒業と専門学校卒業者での給与面の大きな違いなどはありませんので問題はないと思いますが、学位が欲しい方にはデメリットになるでしょう。
デメリット2 夜遅くなる
メリットの部分で触れたように夜間の学科では22:00前後まで学校にいることになります。そのため、帰宅してから夜就寝するまでの時間が自然と遅くなっていく傾向になっていきます。
夜間早く寝て次の日にしっかりと備えたいという方にとっては生活のリズムが大変に思えるかもしれません。
デメリット3 最終学年時に生活スタイルがガラッと変わる
夜間部の大きな特徴として、長期の実習や卒業研究、国家試験対策の始まる特に最終学年はアルバイトを辞めたり、都合によって時間調整をしてもらう必要があります。
このように、学校のスケジュールによって生活スタイルががらっと変わることを理解しておかなければなりません。家族や職場の人にも理解してもらっておく必要があるでしょう。
3年制ではなく、4年制の夜間専門学校に通ったほうがいい理由
じっくりと学べる
時間的なゆとりを持って、じっくりと学べるかどうか、ここが3年制と4年制の最も大きな違いでしょう。
夜間の専門学校は昼間よりもコンパクトに授業が組まれており、忙しいです。それに卒業研究、実習のレポート、国家試験対策と年数がたつにつれ忙しくなってきます。4年制であれば学費はかかりますが、3年制よりもじっくりと学ぶことが出来る上に、学生最大の課題(一番大変)である卒業研究、実習、国家試験の3つにじっくりと取り組むことができます。
もし3年制の夜間学科に入学を検討している場合は、入学説明会などで上記のように卒業研究、実習、国家試験対策がどのようなスケジュールで行われるのかきっちりと確認しておきましょう。
参考:夜間課程がある他の国家資格は?
理学療法士以外にも夜間の専門学校がある資格は以下の通りです。
- 作業療法士
- 言語聴覚士
- 看護師
- 柔道整復師
- 介護福祉士
- 栄養士
- 管理栄養士
実際に理学療法士の夜間専門学校に通って感じたこと
夜間の理学療法士学校を選んだ理由
私自身は高校を卒業したての現役生でしたが、奨学金だけでは心もとなく学費を稼ぐ必要があったため、昼間に働きながら学校に通えるということに魅力を感じ、夜間4年制の専門学校に入学しました。
夜間専門学校に通ってよかったこと
週5回程度のアルバイトを行いながら学校に通いましたが、昼間に余裕のある時間帯が作れるため、学費は問題なく支払うことができました。また、夜間の学部の同級生には転職組の方が多く年齢層の高い人ばかりでしたが、同世代の同級生たちとは違った価値観などを共有することが出来て非常に有意義な4年間を過ごすことができました。
スポンサードリンク
また、授業や実習に余裕を持ちたいと思い、長い年数学べる4年制を選択しましたが、4年制であっても実習や、国家試験の勉強は1年がかりで大変だった思い出があります。3年制の専門学校だったらもっと忙しかったと思うと、今では4年制の夜間専門学校を選んでよかったなと思います。
よくなかったこと
あえて言うなら個人的な問題もありますが、私の場合昼間はアルバイトを行い、学校が終わってからその日の復習やテスト勉強を行っていたため、寝るのが遅くなり生活リズムが崩れた時期がありました。今思えばどの時間に何を行うのか、自己管理が重要だったなと反省しています。
就職後、8年がたちますが、今のところ4年制の夜間専門学校であることの不利益やデメリットは就職してから感じることは一切ありません。
夜間課程(4年制)でかかる学費や諸経費
- 学費(施設使用費込):1,200,000円
- 入学金 :300,000円
- 教科書代 :初年度に15万円程度
- 実習費 :実習費、遠方への実習の際はレオパレスの宿泊代等は学校負担、交通費は実費
- その他:学校への通学定期代、生活費
- 1年あたり :2,000,000円程度
夜間専門学校に向いている人
社会人やダブルスクールの学生
メリットの部分でも述べましたが夜間部の最大の特徴は昼間に大きな時間が空いていることです。理学療法士には一度社会に出てから第2の人生として転職される方がたくさんいますのである程度社会経験があり、お仕事をしながら学校に通いたいという方には最も向いているタイプの専門学校だと思います。
深夜帯のアルバイトを考えている人
かなり特殊ではありますが、同級生にこのような生活リズムで過ごされていた方がいましたのでご紹介させていただきます。
深夜帯のアルバイトは昼間に比べて給料がよい傾向があります。夜間の専門学校であれば学校⇒バイト⇒朝に睡眠⇒学校というサイクルができますので無理なく通うことができます。ただし、昼夜逆転しますので体調管理には十分に気を付ける必要があります。
夜間専門学校に通うか迷っている方へ
結論的に現段階では昼間と夜間、大学を選ぶことで就職後に大きなメリットやデメリットはありません。
スポンサードリンク
どの教育機関も一定のカリキュラムを経ていますのでよっぽど特色のある学校以外に大きな違いはないと思います。ですので、学費を稼ぎたい、転職したいと考えている方は無理なく、生活スタイルを大きく変えず通える4年制の専門学校はかなりのお勧めです。
ぜひ学校説明会に足を運んでもらい、ご自身のライフスタイルに合った専門学校選びをしてください。