理学療法士の学校には、専門学校や大学などいくつかの種類があります。

今回は、実際に3年制の専門学校に通った現役理学療法士が3年制専門学校のメリットやデメリットを分かりやすくご紹介します。

理学療法士専門学校の種類

3年制と4年制

理学療法士になるためには、必ず理学療法士の養成校に通わなければなりません。養成校には大学・短大・専門学校と種類があります。そのうち専門学校には3年制と4年制があります。この違いについて解説していきます。

昼間と夜間課程

理学療法士の養成校には、昼間部だけでなく夜間部を設けているところもあります。専門学校では、以下の組み合わせのパターンがあります。

  1. 3年制 昼間部
  2. 4年制 昼間部
  3. 3年制 夜間部
  4. 4年制 夜間部

昼間部の特徴

学校生活は、昼間部については一般的な大学や専門学校と大きな変わりはありません。3年制は一年短い分、夏休みなどの長期休みが短いなどの違いがあります。

夜間部の特徴

夜間部は平日18時からの2コマと土曜日一日が一般的です。休みが少ない点は、昼間3年制と同様です。夜間部3年制では、授業が夕方からの3コマとするなどしてカリキュラムを組んでいます。


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3年制リハビリ専門学校の数

全国に3年制のリハビリ専門学校はいくつある?

理学療法士の養成校は、専門学校から大学への転換が増えており、3年制の専門学校は少数派となります。平成28年度のデータでは、現在募集中の全ての養成校254校のうち、3年制の専門学校は66校です。3年制の専門学校でも夜間部は4年制となっている場合がありますので注意が必要です。夜間部3年制がある専門学校は、全国で9校となっています。

受験者数と入学者(倍率)

学校別のデータはありませんが、養成校は供給過多になっています。専門学校に関しては定員割れも多い状況ですから、入学については厳しい競争ということはありません。

3年制リハビリ専門学校の特徴

リハビリ専門学校の先駆け

日本で初めての理学療法士養成校は、昭和38年に開講した国立療養所東京病院附属リハビリテーション学院です。

その後昭和54年に金沢大学に3年制の医療技術短期大学部が、平成4年に広島大学に4年制の医学部保健学科が誕生し、大学教育の場も増えていきましたが、日本における理学療法士養成の歴史は、この学校をはじめとする3年制専門学校での教育が基礎となっているのです。

理学療法士への最短距離

理学療法士になる最短距離は、高校卒業後、3年制の専門学校または短期大学に入学し、現役で国家試験に合格することです。社会人から理学療法士を目指す人にとっても、学生に戻る期間は一年でも短いほうがいいですよね。

理学療法士の3年制専門学校に通うメリット

メリット1 学費の総額が安い

卒業までに必要な単位数は法律で定められているため、3年間でも4年間でもカリキュラムには大きな変わりはありません。3年間であれば単純計算で一年間の学費が不要となりますので、大きなメリットと言えるでしょう。

メリット2 最短で理学療法士になれる

理学療法士は、近年急速に資格者数が増加しています。職域も広がりつつありますが、供給過多ではないかという声も聞かれています。需要と供給のバランスが崩れると、就職難になったり、給与水準が低くなったりします。できれば一年でも早く資格を取っておいた方がよいかと思います。

メリット3 就職や待遇に差はない

就職に際して学歴が重視されることは少ないと言えます。理学療法士(取得見込み)という条件は同じですので、そこまで気にする必要はありません。給与の面では、一般企業と同様に、初任給では大学卒と短大・専門学校卒との間に多少の差がある場合もあります。


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しかしスキルアップのために転職することも多い業界ですから、その差がずっと続いていくということもありません。転職するとなれば経験と実力の世界です。

理学療法士の3年制専門学校に通うデメリット

デメリット1 詰め込み教育

短い期間で理学療法士になれるということは、それだけ学生生活の密度が高いということです。実習期間は短くすることができないので、学校での講義がタイトに詰め込まれているという印象です。

暗記しなければならないことも多いので、勉強が苦手な人にとっては、ついて行くのが大変かもしれません。卒業までに必要な単位が揃えばよい大学とは異なり、一年ごとにクリアしていないと進級できないので、気を抜くことはできません。

デメリット2 国家試験の勉強対策時間

最後の「臨床実習」が終わると、国家試験の受験対策へと切り替わります。3年制の場合、3年の夏すぎまで実習があり、その後からとなるため、4年制と比べて時間が限られる点は否めません。

デメリット3 1年あたりの学費が割高

すべてのカリキュラムを3年間に収めなくてはならないため、学費や諸経費を一年間あたりで見ると高額となるケースもあります。

デメリット4 実習の充実度

実習についても最低の時間数が定められているため、必要最低限は確保されています。しかし、4年制の方が手厚い実習期間を設けているケースは見受けられます。

また3年制の場合は実習と実習の間隔が短い、再実習となってしまった場合に国家試験の勉強と時期が重なってしまうなど不利な点はあります。

実際に3年制のリハビリ専門学校に通って感じたこと

3年制のリハビリ専門学校を選んだ理由

社会人から理学療法士を志したため、一年でも早く資格を取りたくて専門学校を選びました。学費も通える範囲の中から最も安いところを選びました。

3年制でよかったこと

学生生活は、とにかく忙しかったという印象でした。月曜日から土曜日まで、1限~4限まで授業がびっしりでした。授業もただ受けていればいいというものではなく、毎週のようにやってくる小テストもあれば、実技の試験もありました。放課後も残って図書館や実習室で勉強していました。忙しくて遊ぶ暇もないと、自然とクラスメートと協力しあう関係ができあがっていきます。

私自身はなまけグセがあるタイプだったので、周りのみんなが焦って勉強している姿を見ながらできたことが刺激になり、結果的にはよかったと感じています。4年制でもっと余裕があるカリキュラムだったら、のんびりしてしまいギリギリまでサボってしまったかもしれません。勉強は得意ではなく大変でしたが、結果的には通過しなければならないチェックポイントの多い3年制の方が向いていたと言えます。

3年制でよくなかったこと

やはり授業はハードでした。なんとか無事に乗り切れたからよかったですが、試験で1つだけ単位を落として留年した同級生もいましたし、実習が通らなかった人もいて、1割以上の人が脱落(留年または休学・退学)していきました。

また、専門学校は国家試験の合格率がイコール学校の評価という価値観がありますので、「卒業試験」という形で国家試験の合格が怪しい人をふるい落とす仕組みがありました。そのため何名かは卒業延期となり、理学療法士になるのが一年遅れとなってしまいました。卒業試験の頃はかなりのプレッシャーを感じていました。

授業についていけるかが心配な人は、3年制の専門学校への進学を考える際には慎重に判断したほうがよいと思います。

3年制の専門学校でかかる学費や諸経費

学費

だいたい一年あたり100~130万程度です。

入学金

学校によりますが20~30万円程度です。

教科書代

学校のホームページには記載されていないことが多いので要注意です。授業で必ず必要な教科書だけでも、1年間につき5~10万円程度は必要です。その他に実習のための参考書や国家試験勉強のためのテキストなどにも費用がかかります。

実習費

学校によって違いがありますが、15~30万円程度です。

その他(生活費、交通費など)

初めのうちは自宅から通っていた人も、学校生活が忙しくなるにつれて、通学の時間がもったいないからと学校の近くに一人暮らしする人もいます。また、実習は自宅から通える範囲の病院で行われるとは限らないため、実習中のマンスリーアパート代などに費用がかかる場合があります。

1年あたり

合計すると一年間で学費と諸経費で130~180万円程度が必要となります。

3年制のリハビリ専門学校に向いている人

勉強が得意な人

学生生活のはじめのうちは、暗記が必要なものも多くあります。勉強が得意な方がいいかもしれません。でも体力でもカバーはできます。

要領がいい人

全ての教科は独立しているのではなく理学療法士になるために必要な知識としてつながっていますから、効率よく勉強できる人にとっては3年制でも大丈夫だと言えます。

社会人

学費の面や、一年でも早く収入を得なくてはいけない社会人の方には、最短で理学療法士の資格を取ることができるので、3年制がおすすめです。

学費の面で心配がある人

また、学費の心配がある人には夜間部をおすすめします。授業が18時開始という学校が多いので、日中は仕事をしながら学校に通うことができます。

社会人で今の仕事を続けられる人にとっては理想的です。ただし、実習が始まると日中となるため、いずれは仕事を辞める必要があります。

参考:3年制の専門学校で取得できる他の医療国家資格は?

作業療法士

理学療法士の兄弟とも言うべき資格。カリキュラムが近く、両方の学科が併設されている学校も多くあります。

言語聴覚士

高校卒業後、3年制の養成校卒業で国家試験受験資格が得られます。大学卒を条件となる2年制の学校もあります。

看護師

3年制の短大・専門学校で正看護師の資格が取得できます。2年制ので准看護師になってから、さらに正看護師を目指すこともできます。

柔道整復師

理学療法士と同じく3年制と4年制の専門学校があります。将来独立を考えている人には、接骨院を開業できる点が魅力です。

介護福祉士

高校卒業後に2年制の養成校に入学すると実務経験なしで受験資格が得られる他、介護職としての実務経験3年プラス実務者研修修了で介護福祉士の受験資格が得られます。

臨床検査技師

3年制の専門学校や短大などで国家資格の受験資格を得ることができます。

診療放射線技師

3年制の専門学校や短大などで国家資格の受験資格を得ることができます。

まとめ:3年制か4年制のリハビリ専門学校で迷っている方へ

4年制ではなく、3年制のリハビリ専門学校をおすすめします!

勉強は大変ですが、充実した密度の濃い時間が過ごせますし、苦労をともにした同級生とは強い絆が生まれます。カリキュラムにも工夫がされていて、効率よく勉強できます。社会人の方など、早く理学療法士になりたい人には特におすすめです。

年数や大学か専門学校の種類に捉われず、自分に合った学校を選ぼう

ここまで3年制専門学校の特徴を見てきました。しかし、どの種別が一番適しているかは、人によって違います。学費の点ではメリットがあっても、授業についていけなければ意味がありません。


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養成校は数が急速に増えています。他との差別化を図っている学校も多いので、「どこでも同じ」ではありません。必ず学校見学を一つではなく二つ以上しましょう。見学の際には自分の目でよく学校の雰囲気を確かめることが重要です。不安な点があれば納得がいくまできちんと質問しておくこともお忘れなく。

理学療法士になりたい!という強い気持ちがあれば、勉強も実習も必ず乗り越えられます。後から振り返って自分自身を心から褒めてあげられるような充実した時間を過ごして、国家試験を突破し、理学療法士の将来を担う人材としてせひ活躍してください。