理学療法士の活躍する分野は広がりを見せ、今では医療・介護・介護予防・教育・スポーツなどで専門性が生かされています。同じ理学療法士であっても各分野で仕事内容・求められる能力が異なります。

ここでは医療・介護分野で現場経験がある理学療法士が、各分野の特徴を紹介します。就職活動前にどの分野が自分に合うのか、参考にしてみてください!

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理学療法士が活躍する分野

理学療法士が活躍する分野は主に医療分野と介護予防・介護分野の2つです。他にもスポーツ分野、教育・研究分野、開業をして活躍する人もいます。各分野で仕事に違いがあり、求められる能力や適性も異なります。就職先を考える場合はまず分野別の特徴を知ることから始めていきましょう。

医療分野

医療分野は理学療法士が活躍する分野として最も一般的な分野です。新生児~高齢者まで、そして整形外科、脳神経外科、循環器内科、呼吸器内科、神経内科などにおけるあらゆる疾患を対象として理学療法が行われています。

疾患の有る患者さんを対象とするため常に高いリスクのもと理学療法を行わなければならず、安全に理学療法をするためにも疾患や合併症、手術、治療法に関する知識、そして生理学や解剖学、栄養学などに対する深い理解が求められます。

またチームプレイも必要となります。医療分野における理学療法は決して自分1人で行えるものではなく、治療を妨げとないように情報収集(患者さんの状態、理学療法実施時の禁忌等)が必須となります。

医師の治療方針はもちろん、その日その日によって異なってくる患者さんの状態変化(発熱、食欲不振、下痢、日常生活動作、気持ちの変化など)は看護師に確認をしなければなりませんし、退院に向けての情報(退院先、家族の希望、利用できるサービスなど)はソーシャルワーカーに確認を取ります。他にも食事が進んでいなければ栄養士さんに確認しなければなりませんし、当然他リハ職とも情報を共有して目標を定めていかなければなりません。

医療分野における理学療法は淡々と理学療法の手技のみに集中できるということは決してなく、色々な人に話しかけながら情報収集をして各部署と相談をしながら患者さんの状態や環境を向上させていきます。そのため技術だけでなく高いコミュニケーション能力も求められることとなります。

介護予防・介護分野

介護予防・介護分野は医療分野の次に理学療法士が活躍している分野です。地域の高齢者や加齢に伴い少し心身が弱ってきた方、老若問わず何らかのきっかけで介護が必要となった方などが対象となります。

病院やクリニックで入院している患者さんを対象とする医療分野とは異なり地域や施設で生活をしている方を対象とするため、介護予防・介護分野ではより“日々の生活”を意識した理学療法が求められます。

例えば病院の理学療法であれば疾患によって歩行能力が著しく低下すればその機能を維持・向上させるために様子を見つつ日々理学療法を行います。しかし介護予防・介護分野においては歩行能力が著しく低下をしても“日々の生活”が常にそこに待っています。状態変化に応じて介護方法に関する指導やサービス利用状況見直しの提案、福祉用具の検討などを待ったなしで行っていかなければならないこともあります。そのため介護予防・介護分野における理学療法ではよりしっかりと対象の方の生活を把握しなければなりませんし、状態変化があった場合に伴うその人の生活変化に対する想像力、そして柔軟な対応力や提案力が求められます。

また介護予防・介護分野における理学療法と医療分野における理学療法の大きな違いとして、介護予防・介護分野では医師が側に居ないということが挙げられます。医療分野であれば医師が患者さんの様子をみるためカルテを確認すればすぐに患者さんの変化に気づくことができますが、介護予防・介護分野では対象の方の状態変化を自分で気づかなければなりません。

今日は脈が速い、不整脈が多い、脚が浮腫んできている、食事摂取量が減ってきている、息切れをしやすい…などこのような些細な変化を発見し、それに応じて理学療法の内容を変化させなければなりません。またこれら変化が大病の発見につながることすらあります。介護予防・介護分野の理学療法士は医学的知識を有した“医療職”という立場で、対象者の全体を観察する目も求められます。

教育・研究分野

教育・研究分野では養成校の教員となって大学や短大、専門学校で生徒に理学療法を教えたり、自らも研究を行い学会発表や論文の作成を行います。

生徒への指導は学問だけでなく、学生生活におけるトラブルの相談も行います。特に理学療法の場合は実習中に様々なトラブル(アクシデント、交通事故、人間関係の問題、実習中止、休学…)が生じることがあり、生徒の想いを聞き先生としてアドバイスをすることができる人間性が求められます。

スポーツ分野

スポーツ分野ではプロもしくはアマチュアのスポーツチームやオリンピックチームなどのトレーナーとして活躍する理学療法士が存在します。この分野で活躍している理学療法士は理学療法士の資格以外にもアスレティックトレーナーのようなスポーツ関係の資格を取得して専門性を高めている人が多くいます。知識・技術ともに非常に優れている人が多く、この分野で活躍したければ継続的な努力が必要です。

求人が少なく就職は難しい分野ですがボランティアの募集は度々みられ、仕事に専念する傍らボランティアで地域のスポーツチームの指導者、各種スポーツ大会サポーターとして活躍する理学療法士は少なくありません。

開業

開業では整体などを行っている理学療法士がいます。自分で全てを担うため決断力とリスク管理能力が求められます。

リスク管理では施術によってお客様に不利益が生じないように配慮することが最も重要となります。例えば腕が上がらなくなったという主訴で来院した患者さんがいたとしたら、もしかしたら腱板断裂の急性期で整体どころではなく安静が必要な時期だったということもあるかもしれません。またお客様との信頼関係が十分に築けていなければ施術に全く問題がなかったとしても、「施術によって症状が悪化した」と訴えられる場合もあります。

理学療法の知識や技術はもちろん、あらゆるリスクを見極める知識・回避術が必要となります。

また理学療法養成校では開業に関する授業は全くないため、一から経営について学ばなければなりません。事業を持続させるためにも理学療法士の専門分野外の知識も習得しなければなりません。

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就職には強くて働きやすい理学療法士

理学療法士は就職に強く、働きやすいです。安定した職種なので安心して理学療法士として長く活躍することができます。

就職率

理学療法士の就職率は高く、何処かにはほぼ必ず就職できます。国家試験という門はあるものの、就職先が決まらないという学生は少ないです。

転職

理学療法士の仕事は求人が多くあるため、転職は比較的しやすいです。実際に転職を経験しているという理学療法士は多くいます。転職理由は「別の仕事内容にチャレンジしたかった」、「給料をアップさせたかった」、「スキルアップしたかった」など様々です。ある程度であればキャリアアップをしやすい環境です。

勤務先の安定

勤務先は主に病院や介護福祉施設なので安定している所がほとんどです。そのためある日突然職を失うという心配は要りません。給料に関しても大幅に削減されるということはほぼありません(ボーナスは削減されることはあります)。そのため安心して人生プランをたてられます。

ワークライフバランス

理学療法士の仕事は長時間の残業が強いられるということはほぼないため、ワークライフバランスがとりやすくプライベートの時間も充実させることができます。アフター5に趣味の教室に通っている人や、職場から真っすぐ帰宅して家族との時間を充実させているという人たちが多くいます。

また勤務先は安定しているところが多いため女性であれば産休・育休をとりやすく、育児中は時短勤務をしやすい環境があります。そのため安心して長く働き続けることができます。

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